お姫様の釣り針 ページ14
「降流…Aさん。」
思ったより早かったな。学校裏サイトにとある文章を書き込んでから二日後。お昼ご飯中、吉祥寺愛海に声をかけられた。いつもなら部室に行くけど、あの釣り針を下ろした後からは吉祥寺愛海に接触される為、教室でお昼ご飯を食べていた。だから計画通りではあるんだけどね。
「な、なんですか…?」
怯えたふりしながら、スマイル君の服の裾を掴む。スマイル君とシャークん君、瑠玖は吉祥寺愛海を警戒しているが、吉祥寺愛海は気にせず引きつった笑顔を浮かべている。笑顔一つまともに作れないようじゃスマイル君達を奪うなんて到底無理だけどなぁ。
「私、Aさんと仲直りがしたくて…クッキー作ってみたの。食べてくれない?」
「わ、わぁ…ありがとう。あの、後で…。」
「今。食べてみてくれない?」
そんな強要したら怪しいってわからないのかな。本当に、馬鹿は扱いやすくて助かるな…。
恐る恐るクッキーを口に入れて、咀嚼した。
「…お、美味しいよ、ありがとう、吉祥寺さん。」
「ふふっ、どういたしまして。」
…どうやらしっかり釣り針にかかってくれたみたいだ。
お昼休みが終わる数分前、呼吸がしづらいことに気づく。
「A…?大丈夫?」
心配してくれるきんとき君の声も耳に入らない。
「う…。」
「姉さん、ちょっとワイシャツのボタン外すよ?座ってるとキツい?保健室行く?」
「キツ、い…。」
「わかった、とりあえず保健室行こう。」
瑠玖が私を抱え保健室まで連れて行ってくれる。教室から離れたところで、私は呼吸困難のフリをやめた。
「ありがとう、瑠玖。ナイスタイミングだった。」
「いえいえ〜、姉さんの考えることはなんとなくわかるもん。で、どうする?このまま保健室行く?」
「まあ実績は作っておいたほうが良いよね…。このまま呼吸困難のフリして1時間休んじゃおうかな。」
「姉さん結構不良だよね。」
「吉祥寺さんを追い出す為には仕方のないことでしょ?」
そんなわけで保健の先生の前でも呼吸困難のフリして、1時間休む了承をもらえた。瑠玖の甲斐甲斐しいフォローもあって、一先ず落ち着いた…という設定にしておいた。
6時間目が始まる前に教室に戻ると、カルアちゃんとNakamu君、スマイル君から滅茶苦茶心配された。なんでもないから、と誤魔化したけど…。カルアちゃんとスマイル君は多分気づいてるんだろうなぁ。
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作者名:さくらもち | 作成日時:2024年3月20日 17時