【d!】シンデレラ♂を迎えに来ないでください (ページ8)

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憤慨しているような男の様子にすっかり怯えたAの顔からさっと血の気が引き青白くなっていく。

Aは必死になって考えた。
床に頭を擦り付けながら謝罪をすれば許してもらえるだろうか、それとも時間切れになる前にここから逃げた方がいいのだろうか。

様々な方法が渦巻く中で、混乱しているAの脳は「逃げる」を選択したようだった。

『あ…ご、ごめんなさい…！』

申し訳程度にそんな言葉を呟いて、Aは脱兎の如く走り出した。

rb「あ！？ちょ、ちょっと！」

Aが逃げ出したことに焦った男の声もAの耳には届かない。
帰巣本能のままに廊下を駆け抜けて遠ざかっていく。

腐っても女装していてもAは男、それなりの運動能力は備わっているわけで、本気で走れば男一人撒くのは容易いことだった。

あっという間にAと男との距離は開き、やがて大声で叫んでいた男の声も聞こえなくなった。

ひとまず物陰に隠れたAはなんとか助かったとため息をつく。
これで安心だ、とにかく出口に向かって走ろう、と息をひそめて走り出した。

一方その頃、廊下に一人取り残された男＿ロボロは呆然と立ち尽くしたままぽつりと呟いた。

rb「…名前だけでも聞きたかった…」

ロボロにとっては所謂一目惚れというやつであろうか、少しボロボロなA(♂)が困ったように立ち竦むその姿にぐっときてしまったのだ。

しかし女性経験のないロボロにとって怯えている女性(♂)に話しかけるのは至難の業、ほぼ無理ゲーである。

何をどう言えばいいのか分からずにただただ黙っていたところ逃げられてしまった。

立場上城内をうろつく関係者以外の人間は直ちに追跡し拘束という規則に従うべきなのだが、
一目惚れした女(♂)に逃げられてしまったショックで思うように動けず、
相手の運動能力が予想以上に高かったのも相まってみすみすと撒かれてしまった。

自分はどう振る舞えばよかったのだろうか、
悶々と考えながらロボロは無線機で関係者以外の人間が城内をうろついていることを仲間たちへと呼びかけた。

ｼﾞｼﾞｯ＿ｻﾞｯ＿「こちらロボロ、えー女性が城内立ち入り禁止エリアに侵入中、繰り返します、立ち入り禁止エリアに侵入者。侵入者は見たところドレスを着た若い女、正面玄関へＡ通路を通って向かった模様。俺も追うけどすばしっこいから対応できる奴行って。どうぞ」

ｼﾞｼﾞｯ＿ｼﾞ＿「了解。今から＿ｼﾞｼﾞ＿ｻﾞ＿向かう。」