【d!】シンデレラ♂を迎えに来ないでください (ページ7)

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『くっそ…いたい…』

地面に突っ伏したAが微かな声で呻く。
Aを抱えて走っていた男が前方不注意ですっ転び、二人共地面とオトモダチ状態である。
男もかなり勢いよく地面に激突したはずだが上手く受け身を取ったらしく、すぐに起き上がってAの方に駆け寄って来た。

sha「お、お姉さん大丈夫！？ごめん、怪我ない？」
『…大丈夫…です…』

全身を強かに打ち付けはしたが幸いどこも軽い怪我で済んだようだ。男の差し伸べた手を掴んでなんとか起き上がる。

『お兄さんは大丈夫ですか？』
sha「俺は受け身取れたから。お姉さんこそホントに大丈夫？ごめん、ドレスも汚れちゃって…弁償するよ」

先程までのやんちゃな様子とは打って変わった男の心配そうな眼差しにAは何も言えなくなってしまった。

このドレス私のじゃないんです、Aがそう言い出せずにお互い見つめ合って数秒間、男の襟首を
後ろから出てきた手がむんずと掴む。

『あ』
rb「こらシャオロン…お前厩舎の馬全部逃がしといて女の子とイチャイチャするとは随分えぇご身分やなぁ」
sha「いやロボロ、俺はこの子を引っ掛けて遊んでたんじゃなくて出口まで送ってあげようと」
kn「そんなんロボロに任せとけばええねん！！お前はこっちや！！」
sha「え！？いやシッマ待ってや！せめて…うわ！ちょ、せめてお姉さんに…」

Aが何も言えず見ている間にあれよあれよと事は進み、シャオロンと呼ばれた男は金髪の男にずるずると引きずられていく。
その場にポツンと取り残されたAは隣に立っている男に視線を向ける。布で顔を隠し、成人済みにしては随分と背の低い男はなにか言うわけでもなくそこに立っている。

『えっと、あの…私は…どうすれば…？』

Aの混乱した声色の問いに、男は答えない。困ったAが男の顔をよく見てみればみるみる真っ赤に染まっていくではないか。
確かに自分はパーティーの開かれているこの場所で随分と騒いでしまった。男が怒るのも当然である。

『す、すみませんお騒がせしてしまって…えっと…』

Aは勢い良く頭を下げて男に謝罪した。しかしそれでも男からの反応は一切ない。奇妙に感じたAが恐る恐る視線だけで男の様子を伺うと、男の拳はなにかを堪えるように力強く握られ、その肩はわなわなと震えていた。どうみても怒り心頭である。

『(詰んだ…)』