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あの日から成瀬さんは常連客となってくれて、よく私を指名してくれる。
今日は生憎来られないらしいけれど、成瀬さんと話すのはどこか楽しい。久しぶりに会った親戚と話す感覚に近しいものを覚える。
幸運なことに今日はアフターもない。
アフターや同伴は言わばサービス。私が働いている所はそれなりに高いお店だからか、同伴1回につき料金はかかるがそれも時給換算したら安い。
それが指名や顧客満足度に繋がることは重々承知だが、やはりいつも酔っ払ったおじさんやワンチャンを狙ったおじさんの相手をするのはキツい。
「麗さん、帰りはどうしますか?」
「あー、、コンビニ寄りたいので自分でどうにかします」
「了解です。では、他の嬢を送ってきますね」
仲の良い黒服はそう言って、潰れた子達の介助に向かった。
私はバックヤードに戻り、私服に着替えてその様子を横目にそそくさと店を出た。
お店を出て、区役所がある通りにあるコンビニへ足を運ぶ。
小腹を満たすためのおにぎりと、申し訳程度に栄養も考えてスムージーを購入。
ここの通りは歌舞伎町の中でもまあまあ治安が悪いことで有名だから、慣れてるとは言え足早に家の方へと向かった。
流石に3月と言ってもまだ肌寒い。自然と足が早くなる。
家までこんなに長かったか?と思いながら歩いていると、見覚えのある金髪の人を見つけた。
「おお、会えた」
「…どうも」
「ちょっと時間あります?、、ってこれお金かかりますかね?」
「もう営業時間外ですし、個人的なことでしたら構いませんよ」
「そう?なら良かったです」
ここじゃ邪魔だし場所移しませんか?と言われ、2人で家の近くの公園に行くことにした。
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作者名:葵 | 作成日時:2024年3月12日 0時