検索窓
今日:43 hit、昨日:97 hit、合計:30,774 hit

迎え ページ11

.




まだ出会ったばかりだから、趣味の話や好きなテレビ番組の話、推してるアイドルの話に出身の学校の話、その他にもたくさん話したいことや聞きたいことがあった。そのどれもが新鮮で、眩しくて目を細めてしまうかのように自然に笑みが溢れた。
すると、ちょうどAたちが出たタイミングでゆっくりと学校の門の前に停まった車を見て、ギョッとした。
黒塗りでピカピカの、窓にはスモークフィルムが貼られている、いかにもな高級車だったからだ。周囲は少しざわつきはじめたような気がする。きっと違う車だ、きっと別でそういう車に乗っている人がいるのだ。お願いだからそのまま通り過ぎてほしい、私には関係ないはず⋯⋯!
Aは心の中で強く念じていた。目の前の車よ、今すぐどこかへ行ってくれ、と。
ウィーン、と機械的な音を立てて、目の前の車の窓が下がる。

「お嬢、迎えにきたで。」

しかし、Aの必死の願いも届かず、そこから仲良くなれなかったゾムが声をかけてきたのだった。

終わった。Aにとって、その状況は華の高校生活の終わりを意味している。考えうる限り最も悪い状態だ。
呆然とするAの後ろで、女の子たちがぎこちない感じでじゃあね、と言いながら帰っていく。田舎の子ならともかく、都会の子たちが知らないわけがないのだ。あんなに怪しい車が、ヤクザだとかそういう人たちの間で使われているものだということを。Aも弱々しい声で、あ、うん、じゃあね⋯⋯とかろうじて返した。

「な、なんで目の前に車持ってきちゃうんですか!?」

車に乗り込むや否や、Aは感情のままに言葉をぶつけた。あんなふうに登場されたら、Aが怖いところの娘だと丸わかりだ。できる友達もできなくなってしまうだろう。俯いて拳を握りしめる。下手くそなりに、怒っているのだ。だというのに、ゾムは何を言っているか分からないといった態度だった。




.

ちょっとだけ→←入学式



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (126 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
270人がお気に入り
設定タグ:wrwrd , d! , 実況者
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:月出里 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/home  
作成日時:2024年3月12日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。